「新しいことを学びたいけど、もう若くないから記憶力が…」
「昔はもっと覚えられたのに、最近はすぐに忘れてしまう」
年齢を重ねるにつれて、このように感じ、学習に対して一歩踏み出せずにいる方は少なくないでしょう。しかし、年齢を理由に学びを諦めるのは、あまりにもったいないことです。
脳科学の研究では、脳には「生涯にわたって変化し続ける力(脳の可塑性)」があることがわかっています。つまり、何歳になっても脳は成長し、新しいことを学ぶ能力を持っているのです。
この記事では、年齢という壁を乗り越え、学びを楽しみたいと願うすべての方へ、脳の仕組みに基づいた効率的な学習術をご紹介します。
「年齢のせい」は本当?記憶力と脳の真実
まず、「記憶力は年齢とともに一方的に衰える」という考えを少しだけ脇に置いてみましょう。
確かに、情報を素早く処理する能力などは10代〜20代がピークかもしれません。しかし、大人の脳には、若者にはない大きなアドバンテージがあります。
経験という名の巨大なデータベース
大人はこれまでの人生で膨大な知識や経験を蓄積しています。新しい情報を学ぶとき、この既存の知識と結びつけることで、より深く、そして忘れにくい記憶として定着させることができます。これは、知識が点在している若い脳にはない、大きな強みです。
脳は使い方次第で進化する
脳は使えば使うほど、その機能が強化されます。筋肉トレーニングと同じで、記憶力もトレーニングによって維持・向上させることが可能です。大切なのは、年齢に合った「脳の効果的な使い方」を知ることなのです。
脳をだます!大人のための効率的な記憶術
ここでは、脳の性質を利用した、誰でも実践できる記憶術を3つご紹介します。
記憶術①|エピソード記憶で覚える
単なる文字や数字の羅列(意味記憶)は、脳にとって退屈で忘れやすい情報です。そこで活用したいのが「エピソード記憶」です。
エピソード記憶とは、個人の経験や感情と結びついた記憶のこと。「あの時、カフェでこの単語を覚えたな」「この公式を理解できた時、すごく嬉しかったな」といった具体的な体験です。
実践のヒント
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五感をフル活用する: 学習内容を声に出して読んでみる、カラフルなペンでノートに書き出す、内容に関連する場所で勉強するなど。
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感情を動かす: 「なぜこれを学びたいのか?」という情熱を再確認する。驚きや感動、知的好奇心を大切にする。
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物語を作る: 覚えるべき項目を繋ぎ合わせて、自分だけのストーリーを創作してみる。
記憶術②|「思い出す」練習を繰り返す(アクティブリコール)
教科書やノートを何度も読み返す「インプット」中心の学習は、実はあまり効率が良くありません。記憶を定着させるために最も重要なのは、「思い出す(アウトプット)」という行為です。
脳は、「頻繁に引き出される情報=重要な情報」と判断し、長期的な記憶として保存しようとします。
実践のヒント
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ミニテストを行う: 本を閉じて、学んだ内容を思い出せるか試してみる。
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誰かに説明する: 学んだことを、何も知らない人に教えるつもりで話してみる。うまく説明できない部分は、理解が曖昧な証拠です。
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キーワードだけを見て全体を復元する: ノートに書いたキーワードから、その内容を詳細に説明する練習をする。
記憶術③|睡眠を学習のパートナーにする
「一夜漬け」が効果的でないことは、多くの人が経験的に知っているでしょう。脳科学的に見ても、睡眠は記憶の定着に不可欠なプロセスです。
日中にインプットされた情報は、睡眠中に脳内で整理整頓され、長期記憶へと変換されます。特に、深い眠りの「ノンレム睡眠」がこの役割を担っていると言われています。
実践のヒント
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学習後に仮眠をとる: 15〜20分程度の短い仮眠でも、記憶の定着に効果があります。
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寝る直前に復習する: 寝る前にその日学んだことを軽く見直すと、睡眠中に記憶が整理されやすくなります。
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質の良い睡眠を心がける: 毎日決まった時間に寝起きし、寝る前のスマートフォン操作を控えるなど、睡眠環境を整えましょう。
「続かない」を防ぐ!集中力を維持するコツ
学習は継続が力。しかし、忙しい大人にとって集中できる時間を確保するのは難しいものです。ここでは、集中力を維持し、学習を習慣化するためのコツをご紹介します。
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ポモドーロ・テクニック: 「25分集中+5分休憩」を1セットとして繰り返す時間管理術。短い時間なら集中しやすく、こまめな休憩が疲労を防ぎます。
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環境を整える: スマートフォンは通知をオフにして別の部屋に置く、勉強専用の机の上はきれいに保つなど、集中を妨げる要素を物理的に排除します。
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小さな目標で達成感を得る: 「今日は単語を5個覚える」「テキストを3ページ進める」など、毎日クリアできる小さな目標を設定します。達成感がモチベーションとなり、次の日の学習意欲に繋がります。
まとめ:最高の学びは、いつからでも始められる
記憶の仕組みは、年齢とともに変化しますが、決して衰えるだけではありません。大人の脳には大人の戦い方があり、経験と知識を武器に、脳の性質をうまく利用することで、学習効率を飛躍的に高めることができます。
大切なのは、「もう年だから」と自分で限界を決めつけないこと。今日ご紹介した方法を一つでも試してみて、学ぶことの楽しさ、そして新しい自分に出会う喜びを、ぜひ実感してください。あなたの知的好奇心こそが、脳を若々しく保つ最高のサプリメントなのです。
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上記に掲載していない限定講座(非公開講座)も定期的に開講していますので、学びたいことのご相談はお問い合わせよりお気軽にご連絡ください。