物語が終わって幕が下りても、客席の拍手はしばらく続きます。やがて出演者がもう一度舞台へ現れると、「いつ席を立てばいいのだろう」「どこを見ていればいいのだろう」と迷う方もいらっしゃるでしょう。
カーテンコールは、難しい知識がなくても楽しめる時間です。初めてバレエ公演へ出かける方に向けて、終演後のひとときを落ち着いて味わうための見方をまとめました。
カーテンコールは終演後の挨拶
カーテンコールは、上演を終えた出演者が舞台へ戻り、客席からの拍手を受ける時間です。ダンサー全員が並ぶこともあれば、少人数で再び姿を見せることもあります。
進み方はバレエ団や公演によってさまざまです。たとえばアメリカのNew York City Balletは、公式サイトの記事で同団ならではの流れを紹介しています。
全員での挨拶が終わるといったん幕が下り、そのあと幕の一部だけが開いて、主な役を踊ったダンサーが客席に近い位置へ出てくるというものです。
出演者は舞台監督の合図で動いていると、ダンサー自身の言葉で語られています。
登場する人数や順番、幕の動きには、その公演ごとの形があります。型を覚えてから出かけるより、その日に見えた挨拶をそのまま受け取るほうが、初めての観賞には合っているでしょう。
踊り終えた後だからこそ見える表情もあります。物語の人物を演じていたダンサーが、共演者や客席へ目を向ける。カーテンコールは、舞台と客席が気持ちを交わす時間でもあります。

最初は舞台全体を眺める
出演者が現れたら、最初は一人に絞らず、舞台全体を眺めてみてください。見るのは次のような大きな動きです。
- どこから人が入ってくるか
- 横一列に並ぶか、中央へ集まるか
- 舞台の奥にも人がいるか
人数を数える必要はなく、中央から両端までを視野に入れておくと、舞台が少しずつ人で満たされていく様子が見えてきます。作品の最後に見た配置と、挨拶のための並び方が違っていることもあるでしょう。
全員がそろってお辞儀をする瞬間は、列の形に目を向けるのがおすすめです。まっすぐな一列なのか、中央だけが少し前へ出ているのか。それだけでも印象が変わります。
一度全員が下がったあと、別の顔ぶれで現れることもあります。このとき急いで主役を探さなくても大丈夫です。最初の全体像が頭に残っていれば、次に誰が加わり、誰が舞台を離れたのかに気づきやすくなります。
座席によっては舞台の端が見えにくいこともあります。そんなときは中央の動きだけを追ってみてください。すべてを見ようとするより、ご自分の席から見えた変化を一つ受け取れたら、それで十分です。
登場する組み合わせの変化を見る
全体の挨拶が終わると、少人数のダンサーが前へ出てくる場合があります。二人で現れることも、一人ずつ現れることもあり、進み方は作品や公演によって変わります。
先ほどのNew York City Balletの例では、全体の挨拶のあとに客席の近くへ進むのは、主にソリストやプリンシパルだと紹介されています。
ソリストとプリンシパルは、どちらも同団でのダンサーの階級を表す呼び名です。ソロや主役を任されることの多いダンサーたちを指します。
これは一つのバレエ団の例です。登場の順番から役の重要度を読み取ろうとせず、その舞台の進行としてゆったり眺めてみてください。
顔ぶれが変わったら、前の並びとの違いを一つ探してみましょう。大勢から二人になった、中央の人が入れ替わった、奥にいた人が前へ出てきた、といった変化です。
挨拶での並び方は、物語の中の人物関係とは切り離して眺めます。
ダンサーが共演者へ拍手を送るような身振りを見せたときも、意味を一つに決めず、互いに目を向け合っていた場面として受け取っておくとよいでしょう。

お辞儀の形と表情を受け取る
お辞儀の深さや腕の動きにも、一人ひとりの違いが表れます。New York City Balletの記事でも、腕の位置に個性を込めながら客席へ感謝を伝えている様子が、ダンサー本人の言葉で紹介されていました。
- 腕を高く上げる
- 片方の腕を客席へ向ける
- 隣の出演者へ視線を送る
こうした小さな違いは、技法の名前を知らなくても見つけられます。
表情も見どころの一つです。作品の緊張をまとったままの人もいれば、ふっと笑顔になる人もいます。どちらが正しいということはなく、物語の終わりから挨拶へ移っていく変化として眺めてみてください。
同じダンサーが何度か登場すると、お辞儀の形が少し変わることがあります。最初は全体に合わせ、次は一人で前へ出るというように、周りとの関係が変わるためです。
腕だけ、視線だけと見る場所を一つに決めておくと、違いが記憶に残りやすくなります。
ライフデザインアカデミーでは、カーテンコールも作品の余韻を味わう時間の一つだと考えています。
形を採点するように見るのではなく、舞台の上の人がどこへ気持ちを向けているように見えたか。そこを大切にしたいところです。
拍手は気持ちを伝えるもの
拍手のタイミングが分からないと、周りより早くないか、遅くないかと気になるものです。カーテンコールの拍手は、終演後に感じた気持ちをそのまま伝えるものと考えてみてください。
ロンドンの劇場Sadler’s Wellsが公開している初心者向けのバレエガイドは、カーテンコールを、出演者が全員でお辞儀をする楽しい時間として紹介しています。
客席から拍手が起こり、ときには立ち上がって拍手を送る人もいる、という書き方です。
立つか座ったままかは、見え方や体調に合わせて選べます。座ったままの拍手でも気持ちは十分に届きます。周りの方が立って舞台が見えにくくなったら、無理のない範囲で姿勢を変えてみてください。
アメリカのMilwaukee Balletは、クラシックバレエの上演中に拍手が起こる場面を、作品の構成に沿って公式サイトで説明しています。
こうした演目途中の拍手と、終演後のカーテンコールの拍手は、分けて考えると分かりやすいでしょう。途中のタイミングに迷ったら、気持ちは終演後まで取っておけます。
拍手の大きさや長さに決まった正解はありません。よかったと感じた舞台へ届くように、手をたたいてみてください。

公演ごとの違いを残す
カーテンコールの形は公演ごとに変わります。幕が何度も開くこともあれば、出演者が一度だけ並んで短く終わることもあります。
違いに気づいたら、優劣をつけずに記録として残しておくのがおすすめです。見えたことを短い言葉にするだけで構いません。
- 全員での挨拶が長かった
- 少人数で何度か登場した
- 隣の出演者へ拍手を送っていた
作品の雰囲気と挨拶の印象を並べてみる方法もあります。悲しい物語のあとに明るい表情が見えた、華やかな終幕のあとに静かなお辞儀が続いた、というように二つを書き留めます。
こうして残すのは、客席から受け取った印象です。振付家や出演者の意図とは分けておき、役名や出演者を確かめたいときは、当日の配役表や主催者の案内を見てください。
次に別の公演を観るときは、前回と同じ入口を一つ使ってみてください。全体の並びだけ、お辞儀の腕だけ、共演者へ向ける視線だけ、と決めておくと、公演ごとの違いに気づきやすくなります。
席を立つ前に公式案内を確かめる
カーテンコールが始まると、写真を撮ってよいのか迷うことがあります。撮影できるかどうかは、公演や会場ごとに決められています。
Sadler’s Wellsのガイドには、同劇場ではカーテンコールが写真を撮れる時間だと書かれています。これは同劇場の案内です。日本国内の公演では、次のような公式の案内を確かめてください。
- チケットの記載
- 主催者の公式ページ
- 会場内の掲示
- 開演前の案内
撮影できる範囲が示されていないときは、スマートフォンやカメラをしまったまま舞台を見ていれば安心です。
退場のタイミングも、公演の進行と会場の案内に合わせます。帰りの交通機関や体調などの事情で早めに出たい場合は、開演前に出口や案内表示を確かめておくと落ち着いて動けます。
急ぐ必要がなければ、幕が下りて場内の案内が始まるまで、余韻を味わってみてください。通路へ出るときは周りの方の流れに合わせ、退場の方法は会場スタッフの案内に従います。
服装やチケットなど観劇前の準備については、「初めてのバレエ観劇で迷わない準備とマナー」でも紹介しています。
まとめ
バレエのカーテンコールは、終演後に出演者と客席が気持ちを交わす時間です。
舞台全体、登場する組み合わせ、お辞儀、拍手。この中から一つを選んで眺めるだけで、公演ごとの違いと作品の余韻を落ち着いて楽しめます。
舞台を観て、ご自分でも踊ってみたくなった方へ。ライフデザインアカデミーでは、対面のバレエレッスンとオンラインレッスンをご用意しています。
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